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コミュニティーマネージャー
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【ブログ‌💬】企業にとってレベニューオペレーションはいつ必要なのか? by Kyle Jepson

この1年間、約30人のオペレーション担当者にインタビューし、オペレーションの世界について理解しようと努めてきました。さまざまなことを尋ねましたが、その中でも、特に全員に聞いた質問があります。

 

企業成長のどの段階で、リーダーはオペレーションに投資するべきでしょうか?

 

全員の答えは基本的に同じでした。

 

もっと早くから始めるべきだ。

 

この答えは何度も何度も耳にしたので、スタートアップ企業が最初に採用するべき人材はオペレーションの主任ではないかと思うようになりました。しかし、もう少し注意して掘り下げてみると、オペレーションに投資するべきタイミングはいつなのか、そしてなぜオペレーション担当者全員が自社の投資のタイミングが遅すぎると感じているのか、理解できるようになってきました。私がまとめた見解を皆さんにも伝えたいと思います。

 

オペレーション担当者の意見が一致する理由

オペレーションに携わっている人なら、フリーダイバーよりも水中にいる感覚が分かるはずです。また、消防士よりも、炎や爆発が迫ってくる感覚も理解できるはずです。オペレーションは、ビジネスのあり方を根本的に変えることができる戦略的な役割であると期待されていますが、一つの危機から次の危機へと走り回り、物事を継ぎ合わせ、無限に続く緊急タスクを次々とこなすだけで1日が終わるのが現実です。こうした問題の多くは、ビジネスが根本から体系的に構築されていないことが原因で発生する副作用のようなものです。欠点ばかりが目につき、「誰かが最初からオペレーションを考えてくれていたら、今頃はもっとスムーズに業務が進んでいたはずだ」と思ってしまうものです。

 

このような状況は、インタビューを敢行したほとんどの企業で起こっているもので、その理由を考え始めました。なぜもっとスマートに企業を創立する方法を考えなかったのか?なぜ創業者は最初から拡張を考えて起業しないのか?

 

これが私の次の研究課題となったわけですが、その結果は驚くべき内容でした。しかし、その前に、拡張性とは何か少しお話しましょう。

 

拡張性とは?

簡単に言えば、企業が拡張を実現できれば、直線的な成長からは脱却できます。それまでは、人員を増やすことでしか収益の向上は見込めません。売上を伸ばしたいですか?営業担当者を増やしましょう。顧客数が多すぎて、サポートチームで対応できていませんか?サポート担当者を増員しましょう。収益の増加は増員と切り離すことができませんが、増員はコストのかかる方法です。さらに言えば、これは一時的な戦略であり、最終的には壁にぶつかることになります。結局、地球上の営業とサポートの担当者全員を採用することはできません。たとえ本当にそれができたとしても、拡張するチームの獲得とトレーニングにかかるコストは、すべてのリソースを消費し、ビジネスの各部門への投資を妨げることにもなりかねません。

 

もちろん、規模を広げずに、中小企業の状態をずっと維持するという方法もあります。私は、中小企業の経営者像を良く知っており、好んで仕事もしてきました。彼らについては、良い印象しかありません。中小企業の状態を継続することが目標なら、安定した収益と固定された人員数の均衡に落ち着き、何年もそのモデルを維持することはできます。しかし、成長を続け、対応する場所や顧客を広げ、提供する製品のリストを増やし、世界への影響を高めることが目標なら、同じペースで人員を増やさずに収益を増やす方法を見つける必要があります。

 

それができれば、魔法のようなことが起こります。増員に比例して収益が増えるのではなく、曲線を描いて上昇するようになります。直線的な傾向ではなくなり、増員した結果として収益が向上するのではなく、収益が向上するから増員が可能になるでしょう。そして、研究開発や海外進出のほか、直線的な収益成長では賄えないビジネスへの投資も可能になります。

 

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素晴らしいと思いませんか?ここで、先ほどの問題に戻ります。スタートアップ企業は、なぜ設立当初から拡張を想定して最適化しないのでしょうか?

 

仮説の話

自分が起業することを想像してみてください。(想像するまでもなく、すでに実行している人もいるでしょう)。消費者に愛されると思う製品やサービスをそろえ、どのようなタイプの人がターゲットになるか仮説を立てています。そこで世に出て、ターゲットになるユーザーを探し、その層に向けて製品をアピールします。

 

しかし、ターゲット全員が製品を買うわけではありません。そこで情報を集め、仮説を更新していくと、アプローチしたユーザーのうち、購入してくれる人の割合がすぐに増えていきます。しかし、製品を購入するユーザー数が増えると、かなりの割合の人が不満を持っていることが分かります。まったく気に入らなかったので、買わなければよかったと思う人もいるでしょう。幸いなことに、不満を持った理由をフィードバックしてくれる人もいるので、改善し優れた製品を提供することができます。

 

需要が拡大すれば、少人数の営業チームを採用して、売り込みを開始します。それぞれの営業担当者が、独自の方法でリードを見つけて製品を販売していますが、特に結果が秀でている担当者もいます。賢明な経営者は、その理由を探り、ターゲットの顧客が望んでいるアプローチ方法を発見します。その結果、営業のベストプラクティスが確立され、営業チームメンバーに共有します。徐々に、しっかりとした営業プロセスが形成されていきます。

 

一方、これまでは顧客数が少なかったので、顧客サポートには投資していませんでした。しかし、営業チームが素晴らしい成果を上げ、顧客数も増えた今サポートが必要になったので、そのためのチームを構築します。ここでも同じストーリーが繰り返されます。他より成果を上げる担当者がいて、ベストプラクティスを見つけるために調査し、すぐにチームが活性化されます。

 

ここでは、マーケティングには触れていません。もしかしたら初期の段階からマーケティングに力を入れ、顧客層に対する理解が深まり、製品が成熟するとともにマーケティングも適応し、変化していくのかもしれません。あるいは、顧客層や製品がある程度決まるまで待っていたので、マーケティングエンジンを始動したばかりかもしれません。いずれにしても、試行錯誤を繰り返しながら、マーケティングも正しい方向に進めるようになるでしょう。

 

マーケティング、営業、顧客サービスがそれぞれ活躍し、会社としても成長しています。しかし、成長は直線的です。営業のキャパシティを広げるには営業チームの増員が必要で、顧客サービスについても同様です。顧客に愛され、製品への需要も高まっているのに、そのペースに追いつくのに苦労している状態です。まるで車輪が外れかけているような感覚で、支援が必要です。

 

オペレーションが必要になります。

 

そこで、オペレーション担当者を採用します。企業の短い歴史の中で初めて、マーケティング、営業、顧客サービスのプロセス、それをサポートするシステムを担当するフルタイムのスタッフが登場したのです。

 

そして、それはあまり良いこととは言えません。

 

マーケティングから営業、営業から顧客サービスへの引き継ぎには大きなギャップがあり、そのギャップの中で多くのリードや顧客を失ってしまいます。

 

営業のパイプラインは穴だらけです。あるステップから次のステップへのコンバージョン率は最悪で、あちらこちらでステップが重複したり、逆に不足していたりします。

 

ここで、新任のオペレーション担当者に技術スタックについてどう思うか聞いてはいけません。担当者にとっては、無関係のツールをチューインガムや針金でつなぎ合わせただけの代物で、触っただけで崩れ落ちてしまうのではないかと不安に感じているからです。

 

気の毒なオペレーション担当者。仕事を終えて帰宅した担当者は、愛犬やパートナー、あるいは誰もいない部屋に向かって「この会社は好きだけど、もっと前からオペレーションに投資すべきだった」とつぶやくのです。

 

スタートアップ企業が拡張性を備えていない理由

この仮説の物語を見てみましょう。この企業では、どのタイミングでオペレーションに投資するべきだったでしょうか?

 

これは非常に難しい問題ですが選択肢は3つあると思います。物語の最初、中盤、あるいは最後です。

 

それぞれのフェーズを考えてみましょう。

 

たとえば、最初の顧客がついた創立当事に投資したとしましょう。いきなり市場に飛び込むのではなく、オペレーション担当者を採用して、「当社にはこのような製品があり、ターゲットユーザーの仮説を立てています。できるだけ多くの人に製品を届けるオペレーションエンジンを構築してもらえないでしょうか?」と頼むこともできたはずです。しかし、これは非常に危険なことかもしれません。先ほどのストーリーでは、創設者はすぐに、理想の顧客像に関する直感が間違っていたことに気付き、貴重なフィードバックを得て、製品やサービスを改善することができました。つまり、この時点で厳密なオペレーションを導入するのは時期尚早だったでしょう。この企業はまだ正しい軌道に乗っていなかったので、オペレーションを使ってスピードを上げようとしていたら、全く別の方向へ突進してしまったかもしれません。

 

では、物語の中盤の場合はどうでしょうか?ここでは、いくつかの機会があると思います。まず、営業のベストプラクティスを把握し、チームに教育する人材として、オペレーション担当者を起用する方法が考えられます。これは非常に理にかなった方法で、多くの企業で導入されています。営業オペレーション、営業管理、あるいは営業トレーニングのリーダーを採用し、営業プロセスを厳格に管理するのです。この方法は非常に優れています。次に、顧客サービスチームを構築するタイミングです。先ほどと同じ作戦を導入し、新しい顧客担当部門にオペレーション担当者、またはトレーニング担当者を採用します。問題ないですね。マーケティングについても同じです。良いでしょう。しかし、ここでサイロ化という新たな問題が発生します。マーケティング、営業、サービスには、それぞれの戦略と目標があり、技術的なスタックもあります。営業は独自の方法で注文を処理し、顧客サービスではまったく別の方法を取り入れています。顧客は社内が連携していないことを感じ、好感が持てなくなります。さらに、創設者にとってこの3種類のデータセットを1つの確立された情報源にまとめるのは至難の業です。最後まで待つよりは比較的問題が少なくて済みますが、こうした不一致を解決するために新しい担当者が必要になります。新しいスタッフは、チューインガムや針金で繋がれたシステムを目の当たりにすることになります。問題を完全に回避するのではなく、少しだけ形を変えるのです。

 

物語の最後にオペレーションを導入する方法が残っていますが、先ほど読んだように、これも理想的とは言えません。

 

では、正解はどれでしょうか?最初から拡張性を最適化するにはどうしたらよいのでしょうか?

 

ひっかけ問題

私の知る限り、それは無理です。設立当初の成長は直線的で非効率ですが、これを避けることはできません。また、避けたいとも思わないはずです。

 

これこそ、多くの人が見落としている重要な洞察です。非効率、直線的、拡張性のない成長は、あらゆる企業が成長するのに不可欠な要素です。

 

先ほどの仮説の物語で、創設者が行う最も重要な作業は、市場に出て製品や企業の位置付けに対してフィードバックを得ることです。創設者は、重要な見識を得ることで、企業にとって重要な改革を起こすことができます。これは、営業チームにも、顧客サービスチームにも、マーケティングチームにも同じことが言えます。彼らは試行錯誤しながら学び、成功と失敗から大切な見識を得るのです。その過程で多くのミスを犯し、中には重大な失敗もあるかもしれません。しかし、いずれは最適な製品を適切な顧客の元に届けられるようになるのです。その結果、企業の長期的な成長に必要な需要が掘り起こされ、この需要をフルに活かすためオペレーション担当者が配置されます。

 

ほとんどの企業で、オペレーション担当者の導入まで時間がかかりすぎるのは事実です。実際は、必要性を感じる前にフルタイムのオペレーション担当者の採用を検討するべきなのです。しかし、物事が正しい軌道に乗る前には、初期段階の混乱した苦しい時期を避けることはできません。

 

蝶に関するちょっとした余談

最近、子供たちが図書館でイモムシや蝶に関する本を借りてきたのですが、メタモルフォーゼというのは私が想像していたよりもずっと奇妙なものだということがわかりました。さなぎを切り開くと、イモムシと蝶の中間のような奇妙な生き物が出てくるものだと思っていました。人間の場合も、十代の頃、子どもでもなく大人でもない奇妙な過渡期を体験するのと同じようなものだと思っていたのです。

 

しかし、その思い込みは間違いだとわかりました。

 

さなぎを切り開くと、どろどろしたものしかありません。イモムシが保護膜の中に入ると、酵素を放出して自分の体を消化してしまいます。タンパク質液の海に浮かぶ数個の細胞以外は何も残っていません。このタンパク質を燃料にして、ゼロから体を作り上げ、細胞から蝶に成長します。

 

これは、企業が拡張性を手に入れる際の比喩だと思います。最初のうちは、企業はイモムシのようなものです。目に入るものをすべて食べ尽くしながら、うねうねと進み、成長は早いが、動きはゆっくりです。飛び立ちたいとは思っているものの、翼がありません。そして、さなぎに入ります。飛び立つために順調に進んでいると思ったのに、すべてが崩れ落ちてしまいます。今まで苦労して築いてきたものが溶けて、原始スープになってしまうのです。大惨事だと思うでしょう。しかし、成長の坩堝の中には、次の段階に進むために必要なものがすべてそろっています。どのようにそれを組み立てるかを考える必要があるだけです。不安と苦痛と混乱に満ちていますが、これを切り抜ければ、やがて美しい蝶になって鳥と一緒に空を飛べるのです。

 

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蝶に関してもう一つ余談を話しましょう。全身の構造を一から作り直したにもかかわらず、蝶はイモムシの時に経験したことを記憶しているのです。たとえば、イモムシにある臭いを避けるように教え込むと 、蝶になってもその臭いを避けるようになります。つまり、スタートアップ企業からスケールアップした企業へメタモルフォーゼしても、初期の段階で学んだことは失ってはならないのです。成長の坩堝の中でどろどろした液体になっても、それまでの歩みを後悔する必要はありません。ただイモムシだっただけで、その過程を経る運命だったのです。しかし、今こそ持っているピースを集めて、優れたものに再アレンジする時なのです。

 

ここでヒーローのように颯爽と登場するのがオペレーション担当者です。彼らは、消化されたタンパク質の海に浮かぶ小さな細胞で、混沌した状態から秩序を取り戻します。当人から見ると「大惨事の一歩手前だ」あるいは「呼ばれるのが遅すぎた」と思うかもしれません。しかし、企業が発展するには、イモムシの段階を避けることはできません。それは、大きく飛躍するためのステップの一つに過ぎません。しかし、メタモルフォーゼも企業が発展するためのステップの一つで、社内のオペレーションに注意を払う人がいなければ、生き残ることはできません。つまり、オペレーション担当者を採用するのに、時間をかけすぎるのは得策とは言えません。オペレーション担当者がいなければ、企業は永遠にイモムシのままなのですから。

 

レベニューオペレーションに求められるスキルセットとは

49人のオペレーション担当者と話して、私が感じた5つのポイント

 

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著者: Kyle Jepson / HubSpot シニア アカデミー プロフェッサー

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