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Par: Gestionnaire de communauté
Gestionnaire de communauté

【HubSpotカルチャー】HubSpotが実践するハイブリッドな働き方

HubSpotの社内カルチャーを紹介するこのシリーズ、過去2回の記事ではメンタルヘルス向上の取り組みを紹介しました。

 

今回は少し毛色を変えて、”働き方”について取り上げてみたいと思います。

コロナ禍以降、話題に上がることが多いですよね。おそらくこの記事を読んでいる多くの方がテレワークを経験されたり、コロナ禍以前とは働き方が変わったりしたのではないでしょうか。

 

giphy

 

HubSpotでは、未来の働き方を見据えた環境整備と文化醸成の一環として、従業員が自身の働き方に合わせてテレワークとオフィス出社を選択できる”ハイブリッドモデル”を実施しています。2021年1月から設置されたこの制度では、従業員は次の3タイプから自分の働き方を選択できます。

  • @office(オフィスでの勤務)週に3日以上HubSpotのオフィスへ出社する働き方。オフィスで専用のデスクが付与される。必要な場合はラップトップを自宅に持ち帰ることができるが、自宅でのテレワーク環境整備に対する会社からの支援は行われない。
  • @flex(フレックスでの勤務)HubSpotオフィスでの勤務を週に2日以下とする働き方。オフィスに固定デスクは設けられず、出社日には予め担当チームが割り当てるフリーデスクを使用する。会社は自宅等でのテレワーク環境整備を支援する。
  • @home(自宅での勤務)ほとんどの時間、自宅やシェアオフィスなど会社に承認された場所からテレワークする働き方。会社は自宅等でのテレワーク環境整備を支援する。

 

自分が最もパフォーマンスを発揮できる環境、またその時のライフステージに最も適した方法を選択して働くことができるのです。

実はHubSpotではコロナ禍以前から在宅勤務が可能で、全社員のうち約10%がフルタイムでテレワークを実施していました。ですが、このハイブリッドモデルが導入された2021年には、およそ4倍にあたる39%の社員が@home、つまり完全自宅勤務することを選択しました。テレワークすることで家族と過ごす時間や運動、家事、趣味に使える時間が増やせることが大きな理由となったようです。

 

ですが、ハイブリッドモデルにも課題はあります。リモートワーカーの40%は在宅勤務することのメリットを感じている一方で、同僚と顔を合わせて自然とコミュニケーションが生まれるような場が持てないことを寂しく思っているのです。オフィスに行けば誰かしらと立ち話したり昼食を食べに行ったりということがありますが、リモートワークだと会議でしか人と会話することがなかったりしますよね。同僚とのつながりが感じられたり、会社の文化に触れられるバーチャルな機会を設けることが、持続可能な職場環境を作るうえで重要なのですね。

(HubSpotが実践するハイブリッドモデルの詳しい内容や課題、社員に実施したアンケート調査の結果は「ハイブリッドワーク実態調査2022」でご覧になれます。)



私自身はHubSpotのシンガポールオフィスに勤務しているのですが、今は”@flex”を選択しています(年に一度、どのタイプにするか選び直すことができます)。東京23区より少し大きいくらいの国で東京と比べると非常に通勤が楽なので、毎週2日は出社しています。出社する曜日が決まっているわけでも絶対に出社しないといけないわけでもないので、その日の予定や気分に合わせてとても柔軟に働き方を選ぶことができています。

 

ハイブリッドモデルを導入してから働き方やメンタルヘルスの状態がどのように変化したか、HubSpot社員にインタビューしてみたのでご覧ください♪

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HubSpot 社員インタビュー①

muroken.png

 

名前:室橋 健(Ken MUROHASHI)

役職と業務:マーケティングマネージャー (主に広告運用とコンバージョン率最適化施策を担当)

ハイブリッドモデル:@home

 

 

Q.ハイブリッドモデルが導入されてから、働き方にどんな変化がありましたか?

A.わたしは最初@Flexというオフィス出社が週に数回できる働き方を選び、基本的に東京で借りていた部屋からリモートで仕事をしていました。ただ、コロナの状況が良くならなかったため、2021年2月から2021年12月まで約10ヶ月の間は全国のホテルで長期滞在しながら働くスタイルに切り替えました。全国各地に住みながら仕事をするのは自身の夢だったので、思いもよらない形で実現でき、こういった働き方を許してくれた会社に感謝です。ちなみにコロナ前からホテル暮らしをしているHubSpotの同僚がおり、ミーティングで「室橋さんもやりましょう!」と声をかけてもらったことがホテル暮らしを始めたきっかけです。

京都町家の宿のリモートワーク風景京都町家の宿のリモートワーク風景

 

10ヶ月のホテル暮らしで九州、関西、北海道等の都市に住む中で、お茶が趣味ということもあり、交流を持ちたい茶人が沢山住んでいる京都に2022年4月に引っ越しました。自身の中では通常の引っ越しではなく、リモートで仕事ができる環境をフルに活かして「京都にお茶留学」という認識です。HubSpotでは引っ越しのタイミングでハイブリッドモデルを変更できるので、人事の同僚に相談して@flexから@home (原則自宅で勤務) に切り替えました。それまでも基本的にリモートでの仕事だったので、引っ越し後も特に違和感なく仕事を続けることができています。

 

Q.リモートワークのメリットとデメリット、どんなことを感じますか?

A.リモートワークのメリットは「1.自分の住みたかった場所に住むことができる」ことと「2.無駄な生活コストをカットして趣味にもっとお金を配分できる」ことだと思います。ホテル暮らしの際は東京なら銀座や神宮外苑、福岡や長崎、京都、大阪、札幌の大都市のど真ん中に住みながら1日のコストは東京都心のワンルームよりも安かったです。また2022年4月に京都の古い一軒家の町家に引っ越した現在は、一軒家で3部屋+キッチンあって東京のワンルームよりも家賃が安いです。この浮いた生活コストを趣味のお茶に存分に使っています。

 

最大のデメリットは仕事とプライベートの「切り替え」が難しいことだと思います。仕事をする場所と生活する場所を混ぜることは、パフォーマンス・効率が上がりきらず自分には向いていないという結論に至りました。そのためホテル暮らしの際は、なるべく部屋ではなくホテルの使われていないレストランやラウンジで仕事を行い、現在は自宅ではなく徒歩8分のコワーキングスペースを契約してそちらで基本的に仕事をしています。仕事とプライベートを「切り替え」ることでパフォーマンスを下げないように気をつけています。

 

Q.現在の働き方になってから、私生活やメンタルヘルスにはどんな影響がありましたか?

A.私生活ではお茶が趣味なので京都に引っ越して、週末に趣味のお茶に没頭することができています。具体的には、裏千家の茶道の先生に弟子入りして毎週稽古をしたり、週末に京都で開催されているお茶会に参加したり、自身でお客さんに台湾茶を淹れて提供する茶人活動ができています。

お茶会で台湾茶を淹れるシーンお茶会で台湾茶を淹れるシーン

 

メンタルヘルスに関しては、東京で実現できなかった3つの良い変化がありました。

 

1つ目は出会えない方々とコミュニケーションすることで、1つのコミュニティーに依存しないメンタル・ケアの仕組みが構築できたと感じています。平野 啓一郎 氏の著書『私とは何か――「個人」から「分人」へ』に記載のある「一人の人間は、複数の分人のネットワークであり、そこには「本当の自分」という中心はない」という一文を参考に、”会社の自分”以外の自分を持つことで、京都ならではの分人を育てています。具体的には宇治のお茶農家さんや庭師さん、京簾職人さん、陶器の作家さんなど、HubSpotの仕事とは全く違うコミュニティーとの交流を持つことで「京都の分人」を持ち、所属コミュニティーを分散させています。

 

2つ目はリモート環境におけるフィジカルの強化です。「メンタルとフィジカルは連動している」が持論なので、メンタルをフィジカルがサポートできるように毎週土曜日にパーソナルトレーニングを実施しています。リモートワークにヒントを得て、Zoomで東京に拠点を持つパーソナルトレーナーにつないで、レンタルジムを借りて京都にいながらフィジカルを継続的に鍛えることが実現できています。メンタルヘルスと運動に関しては『運動脳』著: アンデシュ・ハンセン 氏が参考になりました。

 

3つ目は大自然を感じながら生きることです。晴れた日の朝に太陽光を浴びながら、透き通った鴨川沿いを自然や野鳥を眺めながら散歩するのが最高のメンタルケアだと実感しています。東京でも運河や隅田川沿いに合計10年住んでいましたが、山に囲まれ透き通った川がある京都の自然のパワーに今でも感動します。

秋晴れの鴨川 手持ちのiPhoneで撮影秋晴れの鴨川 手持ちのiPhoneで撮影

 

HubSpot 社員インタビュー②

Maki.png

 

名前:北村麻喜(Maki KITAMURA)

役職と業務:セールスコーチ(メイン業務はセールスチームの生産性向上の戦略立案、設計、実行

ハイブリッドモデル:@home(リモート勤務)

 

 

Q.ハイブリッドモデルが導入されてから、働き方にどんな変化がありましたか?

A.ハイブリッドモデルが導入されたのは私が妊娠中のタイミングでした。私は東京都内に住んでいたためオフィス勤務も可能でしたが、@homeを選びました。在宅だと業務の合間に少し横になる時間を作るなど、自分のコンディションに合わせて働き方を調整しやすく、産休に入るまでの妊娠期間もフルタイムで苦なく働くことができました。また、妊娠期間は特にコロナ感染が気になり外出が怖かったので、在宅勤務の選択肢があったのはありがたかったです。

自宅オフィスの様子自宅オフィスの様子

 

産休・育休を取得後の復職タイミングでも働き方を選択できたのですが、引き続き@homeを選びました。移動に時間をとられると、業務の時間も子どもとの時間も短くなってしまうと考えたからです。在宅勤務だとお昼休みに少し晩ごはんの準備をしたり、隙間時間で急ぎの家事をこなせるので、通勤していた時代より効率的に毎日を過ごせているように感じます。保育園への送り迎えは夫が担当しているので「いってらっしゃい」と「おかえり」の間は目一杯仕事をして、子どもの帰宅後は家族との時間を楽しめています。

 

Q.リモートワークのメリットとデメリット、どんなことを感じますか?

A.メリットとしては前述したような仕事とプライベートのバランスを調整しやすい点だと思います。

 

デメリットとしては、従業員間のコミュニケーションの難易度があがること。チャットツールでのテキスト主体のやりとりだと、温度感や雰囲気が伝わりづらく、文面がキツく見えてしまったり、逆に気を遣いすぎて連絡に時間がかかってしまったり。オフィスで近くに座っていたら一瞬で済むようなコミュニケーションも、リモートだと変に長引いたりこじれてしまうことがあります。また、同じチームのメンバーであればミーティングで顔を合わせる機会も多いのですが、他チームのメンバーとはなかなか話す機会が出てきません。全社イベントとして定期的にランダムなメンバーでオンラインランチをする取り組みも開催されていますが、私はリアルで顔を合わせていろんなメンバーと雑談する時間をもっと作りたく、月に1回ほどオフィスに行っています。

 

Q.現在の働き方になってから、私生活やメンタルヘルスにはどんな影響がありましたか?

A.リモート勤務だと移動時間を考慮する必要がないので、気をつけないと休む間もなくオンライン会議の予定で1日が埋まってしまうことがあります。そうなると、朝から子どものお世話を終えてすぐに業務開始、最後のオンライン会議が終わったと思ったら子どもが帰宅しお世話に入る、子どもが寝たら洗い物や洗濯…と息つく暇なく仕事と家事のタスクに溺れてしまいます。会社に向かうときの、電車の中で1人でぼーっと過ごせる時間があったときの方が、メンタルヘルスの面ではよかったのかも…と、実は最近思っています。

先日、来年度の働き方を選べる期間だったので次は@flexを選択しました。来年は週に1〜2回オフィスに行きつつ、メリハリをつけてメンタルヘルスを保っていきたいです。


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「一人ひとりが自分に合った働き方を選択して最高のパフォーマンスを発揮する」- 持続可能な職場環境を実現するために、企業はどのような取り組みや制度を実施できるのでしょうか。皆さんの会社や組織で取り組んでいることや、あったらいいなと思う制度があればぜひ共有してください^^