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by: コミュニティーマネージャー
コミュニティーマネージャー

新しくなったSales Hubの全てが分かる完全ガイド

今年のINBOUNDイベントで最も注目を集めたのはSales Hubのリニューアルです。HubSpotの製品担当エグゼクティブ バイス プレジデントのアンディ・ピトルは本イベントで、発売10年目を迎えるHubSpotの営業支援ソフトウェアの歴史の中でも、最大規模となる今回の機能強化の一部を明らかにし、大きな反響を呼びました。この記事では、Sales Hubをリニューアルした理由と、リニューアル後のSales Hubにより、関連性の高い情報提供を通じて営業チームの生産性向上を実現し、雑多な情報に埋もれずにメッセージを届け、消費者とのつながりを強化できるようにする仕組みをご紹介します。

 

営業の新時代

これまで営業チームは生産性と効率性において常に優位な立場にありました。しかし、経済情勢や消費者の購買行動が変化する中、旧態依然とした生産性向上策は効果を失いつつあると、営業リーダーは気づき始めています。

 

営業チームの課題は生産性

営業チームは、過去20年間にわたって「拡大路線」の下で成長を遂げてきました。つまり、多くの担当者を採用し、多くのソフトウェアを導入し、多くの営業活動を実施するのに終始してきたのです。ところが時代は変わり、消費者にも変化が起きています。予算の縮小や商談期間の長期化により、プロスペクトへのアプローチがますます困難になっている現在、ビジネスの成長は停滞し、チームの士気も下がっています。 

 

これを現実に直面しているお客さまの意見を収集するために、HubSpotは今年初めに世界の営業リーダー1,000人超を対象にアンケート調査を実施(英語)したところ、「競合の中で自社の存在感を高める」「売上目標を達成する」などが今年最大の課題であることが明らかになりました。営業活動の生産性は、営業チームにとって避けては通れない重要な課題となっていると言えるでしょう。「多ければ多いほど良い」という考え方はもはや通用しません。実際、単に量を増やすだけの対応では価値が犠牲になりがちで、顧客離れがいっそう進むだけです。

 

HubSpotの営業支援ソフトウェアの詳細はこちら

 

AIを活用して課題抽出からソリューション提供まで対応

AIの台頭により、売り手と買い手のギャップはいっそう広がることになるでしょう。生成AIを活用して、買い手はその場で簡単に情報を入手できるようになり、それに伴い営業に求めるものも変わってきています。つまり、商品説明をするだけの営業担当は不要になり、それよりも買い手のニーズに関心を向け、課題を十分に理解してくれる営業担当を求めているのです。

 

幸いにも、生成AIを正しく使いこなせば、営業チームにのしかかるプレッシャーの高まりを軽減できます。時間のかかる煩雑なタスクを自動化できるだけでなく、顧客の状況に応じた営業活動を新たな次元で展開できるようになるからです。生成AIを活用することで、営業担当者はちょっとしたパーソナライズの工夫で有意義なつながりを創出できるようになるでしょう。

 

成功への新たなアプローチ

業界調査を行い、顧客の意見を分析して明らかになったのは、生産性の課題を解決するには、営業活動の「量」へのこだわりを捨て、これからは営業エンゲージメントの「質」を追及することが必要だということです。 

 

実は、営業の新時代に成功する効果的な方法があります。このアプローチでは、営業チームが生産性を取り戻し、熱意を持って打ち込めること、つまり「営業活動」に再び集中できるようになります。HubSpotで営業のあり方を根本的に見直した理由はそこにあります。多くの顧客と確かな信頼関係を築くことこそが、これからの時代に成功する効果的な方法なのです。 

 

そして、その出発点となるのが、新しいSales Hubです。AIを活用したHubSpotの営業支援ソフトウェアは、生産性を高め、相手の状況に対応できるよう開発されています。Sales Hubは、営業活動の効率化、収益拡大の加速化、さらに分析に基づいた事業拡大を可能にする多彩な新機能によって、生産性の向上と顧客との関係強化を実現します。それでは、詳しく説明していきましょう。

 

 

新しいSales Hubのご紹介

今年のINBOUND 2023で発表された新機能が加わり、Sales Hubは、最先端の主要営業ツールとしての位置を確立しました。HubSpotのスマートなCRMを基盤としたSales Hubがあれば、営業プロセスをさらにレベルアップし、営業エンゲージメント、取引管理、レポート作成やコーチングを劇的に変えることができます。

 

1.営業活動の効率化

まず最初にご紹介するのは、Sales Hubの営業エンゲージメントツールです。事業開発チームはこのツールを使用して、相手の状況に応じた会話を開始し、プロスペクトの心を掴んで取引へと転換できます。新しい営業活動管理ワークスペースのほか、一元的なリード管理、高度なシーケンス、スムーズなリードの引き継ぎを実現する機能が新たに追加されたSales Hubにより、営業チームは作業の負担を軽減しながら、営業活動を効率化し、質の高い顧客体験を創出することができます。

 

→解説動画はこちらからご覧になれます

 

 a.営業活動管理ワークスペース

新しい営業活動管理ワークスペース(Professionalエディション以上が必要)では、営業担当者はプロスペクトへの働きかけや関係構築に集中できるようになります。新規案件の創出に必要な全ての機能が1つのツールに集約されているので、全ての業務を1か所で管理できます。同時に開いている複数のタブを切り替えたり、異なるツールをバラバラに管理したりする必要はもうありません。未処理のToDoリストを完了する場合も、期限超過のコールをかける場合も、ワンクリックですぐに対応できます。

 

さらに、営業活動管理ワークスペースがあれば、営業担当者はリードの状況を常に把握できます。同じ画面上で、CRMデータから今後のミーティング参加者が表示されるほか、タスクキューで関連情報を調べたり、次に取るべきアクティビティーを確認したりすることもできます。また、最も関連性の高い情報を常に手元に置いておけるので、顧客との有意義な関係構築を図れるでしょう。

 

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 b.リード管理の一元化

HubSpotでは、「リード」に特化した機能を取り入れ、リード管理(Professionalエディション以上が必要)を再定義しています。これからは、タスクやチケットと同様にリードのレコードを作成できます。リードは単体のオブジェクトではなく、コンタクトや会社と関連付けられるレコードとして扱います。リードのレコードを作成すると、営業プロセスでプロスペクトがたどるカスタマージャーニーの状況の追跡やレポートの作成が可能になります。 

 

リードの管理は、全て営業活動管理ワークスペース内で行えます。さらに嬉しいことに、ほとんどのプロセスは完全に自動化されています。営業担当者がリードに働きかけ、つながりを深めていくにつれ、リードはカスタマージャーニーの次の段階へとスムーズに進んでいきます。例えば、リードにアプローチすると自動的に「新規」から「試行中」に移行し、リードから反応があれば「接続済み」に移行するという具合です。さらに、以下の取引作成パネルでは、随時リードの見込みや進捗を確認できるため、取引への転換を迅速化できます。

SUIs_SalesHub_Leads.png

 

 

 c.シーケンスのスマート化

HubSpotのシーケンス機能なら、案件創出に向けた戦略全体を自動化できます。シーケンスを活用して、Eメールの自動送信、タスク、コール、タッチポイントの追加など、一連のステップを作成し管理することで、営業担当者は多くのプロスペクトに効果的に働きかけ、信頼関係を深めていくことができます。では、シーケンスの効果を高めるために、案件創出のコツを科学的データで示す新機能をいくつかご紹介します。


例えば、営業担当者はシーケンスを直接ビジネスへの影響に結び付けられるようになりました。新しい成果レポート(Entepriseエディションが必要)では、シーケンスがミーティングの設定や取引成約にどれくらい効果を上げているのかを確認できます。期待通りの成果が出ていないシーケンスが見つかったら、改善されたステップ分析(Professionalエディション以上が必要)を使ってシーケンスの問題がある箇所を特定できます。ステップ分析では、自動配信Eメールから手動タスクに至るまで、シーケンスの各ステップの分析が可能になりました。最適化が必要なシーケンスが見つかったら、新しいA/Bテスト(Professionalエディション以上が必要)の機能を使って複数の選択肢を試し、対象ユーザーに最も効果的なバリエーションを判断できます。

 

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 d.引き継ぎ/代行の円滑化

営業チームが満足度の高い顧客体験を生み出せるよう、Sales Hubにはリードの引き継ぎで摩擦を生じさせない機能が搭載されています。

 

例えば、新しい代理予約機能(Professionalエディション以上が必要)を通じて、新規案件の担当者はリード選別で確度の高いコールを利用して、商談のきっかけをつくることができます。営業担当者の代わりに次のミーティングを即座に予約したり、ミーティングのローテーション(Professionalエディション以上が必要)を使用してラウンドロビン方式で最適な担当者をミーティングホストに割り当てたりできます。 


しかし、メリットはそれだけではありません。新たに追加されたリードフォームによる割り当て(Entepriseエディションが必要)により、マーケティングチームはHubSpotフォームを利用して営業担当者に代わって商談を設定できるようになりました。フォームに条件付きルールを追加するだけで、ウェブサイト訪問者を選別し、有望な訪問者をミーティング設定ページにリダイレクトできます。

7. Lead form routing.png

 

 e.モバイルでの営業活動管理の強化

営業活動管理は職場だけにとどまりません。HubSpotのモバイルアプリなら、営業担当者はどこにいても仕事ができるので、自分のデスクに戻るまで待たずに済みます。また、従来の名刺がvCardのQRコードへと置き換わっている中、営業チームはHubSpotのモバイルアプリに搭載されたQRコードスキャナー(無料)を利用して、vCardをインポートし、HubSpotアカウントにコンタクトを直接追加できるようになります。新規リードとなるコンタクトを追加したらすぐに、新しいモバイルでのシーケンス(Professionalエディション以上が必要)を使って、直接モバイルアプリからシーケンスに登録し、リードナーチャリング(見込み客の購買意欲醸成)を開始できます。そして最後は、モバイル対応になったHubSpotのAIコンテンツアシスタント(無料)です。携帯電話でEメールの文字入力に苦労する必要はもうありません。AIアシスタントのおかげで、それぞれの状況に応じた営業用Eメールを瞬時に作成できるようになるでしょう。

 

2. 収益拡大の加速化

早期に取引を成立させることこそ、営業担当者の誰もが最優先に考えていることは言うまでもありません。HubSpotの取引管理ツールと自動化ツールがあれば、早期の成約を常に最優先させることができます。Sales Hubの取引ボードは、営業プロセスを合理化して、商談を「見込みあり」から「見積もり」へとスムーズに前進させるのに役立ちます。 

 

さらに、営業担当者はパイプライン内の全ての取引の進捗状況を簡単に把握できるようになりました。新しい取引の精査ビュー(無料)を使えば、複数の取引を一覧にまとめられるので、それぞれの状況をすぐに確認できます。精査する取引をクリックするだけで、取引ボードの画面上に、直近の全てのタッチポイントの概要のほか、その横に取引に関連付けられている全てのアクティビティーが表示されます。これまでのように取引レコードのページに移動する必要がないので、パイプラインが非表示になってしまうこともありません。そのため取引の一覧をざっと見るだけで、早急に対応すべき取引を素早く判断できます。


これまでパイプラインや取引のスピードに関する健全性を把握するには、セールスアナリティクスで適切なレポートを検索して参照する必要がありました。新たに登場した取引の分析(Professionalエディション以上が必要)では、この余分な手順を排除し、複数のタブを開いておく必要がなくなりました。分析情報は取引ボードの上部に表示されますが、必要に応じていつでも非表示にできます。営業担当者は、取引金額、新規の取引金額、平均取引期間など、パイプラインの重要な測定指標の概要を簡単に確認できます。

 

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3. 分析に基づく事業拡大

今後の成長を見据えて成功を目指していくには、正確な目標設定、予測、達成が欠かせません。Sales Hubに組み込まれているHubSpotのレポートツールやコーチングツールを使えば、分析情報に基づき、売上目標を正確に設定、予測、達成し、チームの業績を効率的に高めることができます。営業用のレポート作成と分析には、以下の機能が新たに追加されました。

 

→解説動画はこちらからご覧になれます(日本語)

 

 a.精度の高い予測

フォーキャストは新しいフォーキャスト精度トラッキング(Professionalエディション以上が必要)ビューとなってレベルアップします。営業マネージャーは営業担当者の過去の予測データを利用して、手動で入力されたデータの正確性と信頼性を継続的に把握できるようになります。 


新たに登場するフォーキャストインサイト(Professionalエディション以上が必要)では、売上予測の状況を簡単に調べられます。チーム間の予測やパイプラインの動向について、チームの目標、成約、ギャップ、フォーキャスト送信データといった主要な測定指標を基に分析できます。

 

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 b.案件創出の分析

コンバージョン達成に向けて案件創出アクティビティーを最適化することは、営業エンゲージメントの取り組みを強化する上で欠かせません。新たに標準搭載された案件創出アクティビティーレポート(Professoinalエディション以上が必要)を使用すると、営業マネージャーは担当者の案件創出アクティビティーの全体像を把握することができます。シーケンス、コール、ミーティングといったアクティビティータイプごとに進捗を追跡し、コンバージョン率、コンタクト当たりのアクティビティー数、1日当たりのアクティビティー数など、主要な測定指標を深く掘り下げ、成果を出している担当者とコーチングの必要があると考えられる担当者を見極めることができます。

9. Prospecting Activities Report.jpeg

 

新しいリード(見込み客)レポート(Professoinalエディション以上が必要)は、営業チームがリードのアクティビティーを追跡するのに効果的です。コンタクトからリードへ、リードから取引成約へのコンバージョン率や、各ステージにリードが費やした時間を包括的に把握できます。営業マネージャーはリードコンバージョンを分析することで、改善すべき領域を見極め、リードナーチャリング戦略を最適化し、さらにリードソースの有効性を評価できます。この標準搭載されたレポートを使用すると、営業担当者のリードへの対応を評価し、どのように収益拡大を促進すべきかについて、データに基づいた意思決定を行うことができます。

8. Lead funnel report.png

 

 c.深く掘り下げた取引レポート

パイプライン内の取引の流れは必ずしも直線的ではありません。そのためコンバージョン率を測定し、改善すべき領域を見い出すのは一筋縄ではいきません。標準搭載の取引ファネルレポート(Professoinalエディション以上が必要)が機能強化されたことで、正確で信頼できる測定指標のレポートが作成できるようになりました。取引ファネルレポートには、スキップ、コンバージョン、ステージの所要時間といった測定指標が表示されます。また、取引ジャーニーアナリティクス(Enterpriseエディションが必要)と併用すると、レポート機能をさらに拡張して、サンキーチャートとして表示し、特定のステージを除外するなどして、取引ファネルレポートをカスタマイズすることもできます。

Deal Funnel - JP.png

 

 

最後に、営業で最も重視すべき測定指標の1つが営業スピードです。営業スピードは、営業チームの生産性を的確に把握し、営業プロセスの弱点を洗い出すのに役立ちます。新しいセールス ベロシティー レポート(Professoinalエディション以上が必要)を使えば、営業担当者は自分自身のパフォーマンスについて有益な情報を得られるため、その情報に基づいて営業戦略を最適化するための意思決定を行うことができます。この標準で用意されたレポートから、営業チームはリードを顧客に転換するまでの所要時間を把握し、現実的な目標を設定し、リソースを効果的に割り当てることが可能になります。

 

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 d.Sales Hubに欠かせないアプリ

最後に、HubSpotアプリマーケットプレイスからおすすめの営業向け連携ツール(無料)をご利用いただけるようになりました。Sales Hubを最先端の営業ツールの中心に据えて、その他の営業ツールをHubSpotとシームレスに連携できます。例えば、ZoomInfo Inbound EnrichGong.ioPandaDoc | eSignatures & MoreAircallなど、多種多様なツールとの連携が可能です。

 

4. 先日発表された近日公開予定の新機能

Sales Hubの新機能をご紹介するのはここまでですが、先日発表したように、HubSpotの製品開発チームが引き続き開発とテストを進めている大規模な機能強化についてもお知らせいたします。何よりもお伝えしたいのが、AI売上予測と、LinkedIn Sales Navigator連携の全面刷新です。

 

 a.AI売上予測

営業マネージャーは手動の売上予測をAIを活用した予測の精度に比較できるようになります。AI売上予測(Enterpriseエディションが必要)では、これまでの手動の予測や成約の金額を参照し、その月の予想される最良のシナリオと最悪のシナリオが提示されます。初期段階のテストでは、AI売上予測を使用して予測精度が最大95%向上したことが確認されています。

 

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 b.LinkedIn Sales Navigator連携の強化

営業担当者は全く新しいLinkedIn Sales Navigator連携(英語)(Professoinalエディション以上が必要を利用できるようになります。HubSpotは現在、LinkedInとの緊密な協力の下で連携機能の再構築を進めており、数少ないプロバイダーに限定された連携先として選ばれています。新たなLinkedIn Sales Navigator連携では、LinkedInとHubSpotのプラットフォーム間で双方向のデータ同期が可能になることで、担当者はさらに有益な情報にアクセスできるようになり、マネージャーはさらに詳細なレポート機能を利用できるようになります。その結果、営業活動の効率化、プロスペクトとの関係強化、そして早期の成約が実現します。 

 

Sales Hubを活用して第4四半期を勢いよくスタートしましょう!